奄美遠征で3回、この店の暖簾をくぐろうとした。入れたのは2回。残りの1回は満席で、扉の前から引き返した。地元の人で埋まる店に観光客が入れないのは、悔しいというより「やっぱりな」という納得だった。名瀬の「呑みんちゅ」は、そういう店だ。

黒糖焼酎が、ロックグラスに並々と来る
この店を語るなら、まず酒から。良心的な価格の黒糖焼酎が、ロックグラスに並々と注がれて出てくる。初めて出てきたときは量を二度見した。東京の居酒屋では考えられないサービスで、正直、この一杯のためだけでも通う価値がある。

産地で呑む黒糖焼酎は、値段も量も度量が違う。名瀬の夜のスタートとして、これ以上の一杯を私は知らない。
好物は焼き海老。変わり種はイカ墨汁
料理は海鮮が主役。まず頼むのが刺身で、貝殻ごと出てくる盛り付けに島の魚が並ぶ。

私の好物は焼き海老。殻の香ばしさと身の甘さで、並々の焼酎がまた進む。

そして変わり種がイカ墨汁。卓上の鍋で温めながらいただく、奄美の郷土料理だ。真っ黒な見た目に最初は身構えるが、海鮮が入っていて、イカ墨のコクがあって、出汁が効いている。呑んだ体に染みる、黒い滋味である。

小鉢のもずく酢も島のもの。派手さはないが、こういう一品が確実にうまいのが、地元の人が通う店の証拠だと思う。

カウンター越しの人生に出会う
地元の店のもうひとつの楽しみは、店の人との会話だ。ある遠征のとき、関東からアルバイトに来ているという男の子が働いていた。なぜ奄美で?と聞くと、「次の春から海上自衛隊に入隊するので、その前に奄美大島に来ている」という答えが返ってきた。入隊前の時間をこの島で過ごすという選択。そういう人生もあるのかと、並々の焼酎を傾けながら感心した。
チェーン店では絶対に起きない出会いが、こういう店にはある。
17時に入って、1時間で出る
最後に、私がこの店で守っている流儀を書いておく。17時の早い時間に入って、1時間で店を出る。
理由は単純で、ここは地元の人気店だからだ。18時を過ぎると店内はいっぱいになる。実際、私自身が満席で入れなかった夜がある。だから早い時間にさっと呑んで、さっと食べて、席を空ける。他の人もこの店を使えるように、回転を早くするのが、よその島から呑みに来る者の礼儀だと思っている。
幸い、開店は15時と早い。遠征者にとっては、明るいうちから並々の黒糖焼酎が呑める店、と読み替えることもできる。夕方の名瀬で1時間、地元の空気ごと呑む。それがこの店の一番おいしい使い方だ。
店舗情報
| 店名 | 居酒屋 呑みんちゅ |
| 場所 | 鹿児島県奄美市名瀬入舟町5-1 |
| 電話 | 0997-69-3192 |
| 営業時間 | 15:00〜22:30(ラストオーダー) |
| 席 | 約36席 |
| メニュー | 島の海鮮(刺身、焼き海老)、イカ墨汁ほか島料理 |
| ドリンク | 黒糖焼酎(ロックグラスに並々) |
| 支払い | クレジットカード可 |
| 備考 | 人気店のため18時以降は満席になりやすい。早い時間の利用がおすすめ |
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