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よいち餃子大王(小山)|21種の餃子に、21通りの食べ方が壁に貼ってあった

よいち餃子大王 大王餃子 よいち餃子 青しそ餃子

餃子が、無性に食べたくなった。

泊まっていたのは栃木県の小山である。宇都宮ではない。

それでも栃木で餃子と考えたら、頭に浮かぶのは宇都宮のほうだった。ただ、その日の私は小山にいて、そこから宇都宮まで行く気はなかった。

ハイボールに餃子だけで行こう。そう決めて出た。

よいち餃子大王 小山 立て看板
「小山最強の餃子屋」と書かれた立て看板(2023年10月)
目次

小山最強の餃子屋

看板にそう書いてある。「小山最強の餃子屋」。

よいち餃子大王 小山店 外観
黄色い「餃子大王」の看板。JR小山駅の西口からすぐ(2023年10月)

黄色い看板に「餃子大王」。夜の入口に、メニューの立て看板が何枚も並んでいる。JR小山駅の西口から、すぐの場所である。

2023年10月29日、日曜日の17時半。開いてすぐの時間だった。

よいち餃子大王 ハイボールとカウンター
まずハイボール。卓上に調味料がずらりと並ぶ(2023年10月)

まずハイボール。

そして卓上を見て、少し身構えた。調味料が、多い。塩、胡椒、ソース、いろいろな瓶が並んでいる。カウンターの向かいの壁にも、貼り紙がいくつも貼ってある。

餃子屋の卓とは思えない密度だった。

21種類ある

品書きを開いて、手が止まった。

餃子の種類が、多い。

大王餃子、よいち餃子、青しそ餃子、わさび餃子、パプリカ餃子。名前を挙げていけばきりがない。何を頼めばいいのか分からない。

こういうとき、私はだいたい適当に決める。分からないなら選べる範囲で選ぶしかない、と思っている。

ところが、この店は違った。

答えは、壁に貼ってあった

よいち餃子大王 焼き餃子の美味しい食べ方の貼り紙
壁の貼り紙。餃子ごとに何を付けるかが指定されている(2023年10月時点。内容は変わる可能性があります)

これである。

「全21種 焼き餃子の美味しい食べ方」。

餃子ごとに、何を付けて食べるかが指定されている。しかも4つのパターンに分類されている。

パターン①|岩塩に付けると美味しい餃子
大王餃子、エビ餃子、よいち餃子、チーズ餃子。
※岩塩は卓上の小皿に削って使う。チーズ餃子はタバスコも合う、とある。

パターン②|付属のトッピングに付けると美味しい餃子
やまと芋餃子(ソース、マヨネーズ、からし)/梅餃子(練梅、ゆかり)/ごぼう餃子(タルタルソース)/パプリカ餃子(バジルチーズソース、トマトソース)/焼き鳥餃子(特製塩)/四川風担々餃子(ごまだれ)。

パターン③|ブラックペッパーに付けると美味しい餃子
肉餃子。これ1種だけである。

パターン④|何も付けず、そのまま食べて美味しい餃子
にんにく餃子、わさび餃子、青しそ餃子、と金餃子、寅ちゃん餃子、れんこん味噌餃子、たけのこ味噌餃子、猪豚餃子、さばみそ餃子、島とうがらし餃子。

そして左端に、こう書いてある。

「当店の餃子は最短で焼き上がりまで10分程度かかります」

21種に、21通りの答えがある

この貼り紙を見て、思ったことがある。

この店は、選ぶことを客に丸投げしていない。

21種類も並べておいて「お好きにどうぞ」で終わらせるのは簡単である。だがそれでは、21種類ある意味がなくなる。客は結局、いつもの醤油とラー油で全部食べてしまう。

だから店は、餃子ごとに食べ方を指定した。

肉餃子には黒胡椒。ごぼう餃子にはタルタルソース。にんにく餃子には何も付けない。「何も付けない」がひとつのパターンとして立っているのが、いい。付けないことも、選択肢として指定されている。

種類を増やすことと、食べ方を指定することは、セットなのだと思う。

頼んだもの

よいち餃子大王 大王餃子 よいち餃子 青しそ餃子
それぞれに名前の札が立って出てくる(2023年10月)

まず3種。大王餃子、よいち餃子、青しそ餃子。

木の輪切りのような皿に載って、それぞれに名前の札が立って出てくる。どれがどれか分かるようになっている。21種類ある店で、これは親切だ。

よいち餃子大王 わさび餃子
わさび餃子。貼り紙では「何も付けず、そのまま」の分類(2023年10月)

わさび餃子。

よいち餃子大王 パプリカ餃子と2色のソース
赤と白緑、2色のソースが添えられて出てきた(2023年10月)

パプリカ餃子。赤と白緑の2色のソースが添えられて出てきた。貼り紙のパターン②にある、バジルチーズソースとトマトソースだろう。

餃子にソースが2種類ついてくるというのは、なかなか見ない光景である。

よいち餃子大王 白ネギと青ネギの餃子
白ネギと青ネギが山になっている。名前が分からないままの1皿(2023年10月)

そしてこれ。

白ネギと青ネギが山になって乗っている。ラー油とごま油で和えてあって、タレが皿に散っている。

名前が分からない。

札が立っていなかったのか、写真に写っていなかったのか。品書きのどれだったのかも思い出せない。分からないので、分からないと書いておく。

味は、覚えていない

正直に書く。

この日の餃子の味を、私はもう覚えていない。

2023年10月の話である。2年半が経っている。堪能したという感触だけが残っていて、どれがどう美味かったかは出てこない。

写真を見返せば、何を食べたかは分かる。でも味は戻ってこない。

これは記録を残していても起きることで、だからこそ、その場で何を考えたかのほうを書いておきたいと思うようになった。味は消えるが、考えたことは文章にすれば残る。

私は、宇都宮餃子の答えを探していた

食べ終わってから気づいたことがある。

私はこの店で、宇都宮餃子の特徴を確かめようとしていた。

栃木=餃子、餃子=宇都宮、という順番で頭が動いていた。だから21種類を前にしても、どこかで「宇都宮餃子とはどういうものか」を探していた。

そもそも、ここは小山である。

宇都宮ではないと分かって入っておきながら、宇都宮の答えを探していた。探す場所を間違えていた。

宇都宮餃子の特徴を、調べた

次に行くときのために、調べておいた。

宇都宮餃子の特徴は、こうされている。

  • 野菜が多く、肉は少なめ。にんにくもあまり効かせないことが多い
  • 具の野菜は白菜、キャベツ、たまねぎ、ねぎ、しょうが、ニラ、にんにく
  • 皮は薄め。野菜の水分を活かしつつ、パリッとした食感を出す
  • そして——厳密な定義がないことが、特徴として挙げられている

最後の1点で、腑に落ちた。

宇都宮餃子には「これ」という決まりがない。野菜中心であっさりしている、という共通の傾向があるだけである。

正反対の設計だった

並べてみると、こうなる。

宇都宮餃子よいち餃子大王
種類店ごとに違うが、軸は少ない21種(焼き餃子)
食べ方指定がない餃子ごとに指定がある
定義明確な定義がないのが特徴明確すぎるほど明確

同じ栃木県で、正反対の設計が並んでいる。

どちらが上という話ではない。宇都宮のほうは、決めないことで広がりを持たせている。あっさりした野菜の餃子という土台があって、その上で店ごとに自由にやる。定義が緩いから、店の数だけ違いが出る。

小山のこの店は、決めることで広がりを持たせている。21種類つくって、21通りの食べ方を指定する。決めるから、種類が増やせる。

広げ方が、逆なのだ。

研究員の結論

また行くか:行く。次は、貼り紙を先に読んでから頼む。

この店で私が持ち帰ったのは、分からないまま食べたことは、失敗ではなかったということだった。

宇都宮餃子の特徴を知らずに入って、知らないまま食べ終えた。もったいなかった、と最初は思った。

でも、知らなかったから調べた。そして調べてみたら、この店が宇都宮餃子とは逆の設計をしていることが分かった。先に知っていたら、「宇都宮とは違うな」で終わっていた気がする。

分からなかったことは、次に行く理由になる。

向いているのは、選ぶのが好きな人。21種類を前に途方に暮れるタイプの人でも大丈夫で、壁を見ればいい。答えは貼ってある。

そしてこの日の翌日、私は佐野にいた。別の店で30分並んでいる。栃木の昼と夜が、1日ずつ並んでいたことになる。

店舗情報

項目内容
店名よいち餃子大王 小山店
所在地栃木県小山市中央町(JR小山駅西口からすぐ
特徴創作餃子が多数。焼き餃子は訪問時の貼り紙で全21種。餃子ごとにおすすめの食べ方が指定されている
頼んだものハイボール/大王餃子/よいち餃子/青しそ餃子/わさび餃子/パプリカ餃子/名前の分からない餃子1種
訪問日2023年10月29日(日)17:30〜18:08ごろ(約38分

※価格は掲載していません。筆者が控えておらず、記憶で書くと不正確になるためです。

※営業時間・定休日はこの記事では記載しません。入口の立て看板に掲示は確認していますが、公表値は変わることがあるので、行く前にご確認ください。

※貼り紙の内容は2023年10月時点のものです。種類も食べ方も変わっている可能性があります。

※宇都宮餃子に関する記述は一般的な解説によるものです。厳密な定義があるわけではありません。

関連する調査報告

※記事中の飲食物・店内の様子はいずれも筆者が実際に訪問して見聞きしたものです。訪問は2023年10月で、本記事の公開時点から2年半ほど前にあたります。飲食代はすべて筆者が自分で支払っています。宇都宮餃子に関する記述は公開されている解説によります。

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