羽田からJALの直行便に乗ると、奄美空港に13:35に着く。そこから名瀬行きのバスに揺られて約1時間。ホテルに荷物を置いて、さて、と時計を見ると15時前後——ここで奄美遠征初日の最初の問題が発生する。この時間、名瀬ではほとんどの店が閉まっている。
居酒屋はまだ開いていない。奄美名物・鶏飯の専門店は、昼営業を終えてアイドルタイムで休憩中。飛行機とバスを乗り継いで空腹はピークなのに、行き場がない。
その問題を毎回解決してくれるのが、アーケード街ティダモールにある「瀬里奈」だ。私は奄美遠征のたびにここに通っている。
到着日の午後に開いている、という価値
瀬里奈は1974年創業の地産地消レストラン。営業時間は9:30〜20:00の通し営業で、定休日は元日だけ。つまり、昼と夜の間のアイドルタイムが存在しない。名瀬でこの時間帯に温かい鶏飯にありつける店は本当に少なく、私にとっては「奄美到着日の定位置」になっている。
店内は喫茶店の落ち着きとレストランの広さが同居した空気で、遠征の移動疲れを下ろすのにちょうどいい。オーナーは栄養士で島料理の研究家でもあるそうで、島野菜を使った定食やパスタなどメニューは幅広い。

毎回、鶏飯。そして黒糖焼酎
白状すると、私はこの店で鶏飯しか食べたことがない。他にも美味しそうな料理が並んでいるのに、到着日の体が毎回「鶏飯」と言うのだから仕方ない。

鶏飯は、ほぐした鶏肉、錦糸玉子、椎茸、パパイヤの漬物、ねぎ、海苔といった具を白いご飯に乗せ、熱々の鶏スープをたっぷりかけて食べる奄美の郷土料理。江戸時代に薩摩藩の役人をもてなすために生まれた「殿様料理」が起源とされる。

スープをかけた瞬間に立ちのぼる鶏の香りで、「奄美に着いた」と実感する。あっさりしているのにコクがあって、飛行機とバスで疲れた体に染み渡る。さらさらと食べられるのに満足感がある、完成された一杯だ。

そして、鶏飯に合わせるのは黒糖焼酎。到着日の一杯目を「じょうご」の水割りで始めるのが、私の奄美遠征の開会式になっている。まだ日は高いが、遠征先では時計を気にしない。

3回の遠征、3回とも同じ注文
手元の写真を見返すと、3回の遠征で3回とも、同じ席の角度から同じ鶏飯と同じ焼酎グラスを撮っていた。定点観測をするつもりなどなかったのに、体が勝手に定点観測をしていた。それくらい、「奄美到着→バスで名瀬→瀬里奈で鶏飯と黒糖焼酎」という流れが体に馴染んでいる。


次の遠征では、いい加減、鶏飯以外の島野菜料理にも手を伸ばしてみたい。でもたぶん、到着日はまた鶏飯を頼む気がする。
店舗情報
| 店名 | 地産地消レストラン 瀬里奈 |
| 場所 | 鹿児島県奄美市名瀬末広町1-11(ティダモール中央通り) |
| アクセス | 奄美空港から空港バスで名瀬市街へ約1時間 |
| 営業時間 | 9:30〜20:00(通し営業・アイドルタイムなし) |
| 定休日 | 元日のみ |
| メニュー | 鶏飯、島野菜の定食、黒豚料理、パスタほか |
| ドリンク | 黒糖焼酎(じょうご ほか) |
| 創業 | 1974年 |

コメント
コメント一覧 (1件)
[…] 鶏飯の具材をパンに挟んである。鶏飯の個性である鶏の出汁をどう仕込んでいるのかは分からないが、パンの中で見事に鶏飯の味を作っている。瀬里奈で食べた本家の鶏飯を思い出しながら、奄美の郷土料理をカフェバーの一皿に翻訳した面白い発想だと感心した。 […]