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なぜ蕎麦にラー油を入れるのか。五反田店|4回とも鶏そば、同じ角度で撮っていた

なぜ蕎麦にラー油を入れるのか。五反田店 つけつゆと蕎麦

店名が、問いになっている。

「なぜ蕎麦にラー油を入れるのか。」——最後の句点まで含めて店名である。

4回行った。そして写真を並べて、自分でも驚いた。

なぜ蕎麦にラー油を入れるのか。五反田店 つけつゆと蕎麦
左につけつゆ、右に蕎麦、手前に割り箸。4回ともこの構図だった(2024年5月)
目次

4回とも、同じ角度で撮っていた

写真を4枚並べると、こうなる。

  • 黒いトレイを真上から見下ろしている
  • 左につけつゆの丼。右に蕎麦の丼
  • 手前に割り箸

4回とも、まったく同じ構図だった。

意識して揃えたわけではない。1年半のあいだに、別々の日に、別々の気分で撮っている。それでも同じ位置から撮っていた。

私はこの店で毎回同じものを頼んでいるのだが、それだけではなかった。

同じ見方をしていた。

好みというのは、口の中だけの話ではないらしい。何を美味そうだと思うかと、どの角度が美味そうに見えるかは、たぶん同じところから来ている。

決まって鶏そば

なぜ蕎麦にラー油を入れるのか。五反田店 つけつゆの鶏肉と胡麻
器が白に変わっていた。つゆに鶏肉と胡麻(2023年7月)

頼むものも決まっている。鶏そばである。

ピリ辛のつゆに、鶏肉。胡麻がたっぷり。そして蕎麦のほうには海苔が山になって乗っている。その下にネギともやし。

生卵は必須。これを入れると味が変わる。

この店の看板は肉そば——甘辛く煮込んだ牛肉のほう——なのだが、私はそちらを頼んでいない。鶏のほうに固定されている。

これは「蕎麦界の二郎」だった

調べてみて、腑に落ちた。

この店を運営しているのは株式会社のみもの。という会社である。『カレーは飲み物。』『焼きそばは飲み物。』『ハンバーグは飲み物。』——同じ流儀の店名が並ぶ。五反田店はのれん分けの店舗で、本店は池袋にある。

そして公式サイトに、店が自分でつけているハッシュタグがこう並んでいる。

「自家製の極太田舎蕎麦」「蕎麦界の二郎」「ワシワシ食べる」「生卵で味変」「特製ラー油入り」

自分で「蕎麦界の二郎」と言っている。

隠していない。むしろ宣言している。この潔さは、店名の時点ですでに出ていた。

器が変わっていた

なぜ蕎麦にラー油を入れるのか。五反田店 黄色い器
1回目だけ器が黄色かった。海苔が山になって乗っている(2023年5月)

写真を並べて気づいたことがもうひとつある。

2023年5月の1回目だけ、器が黄色い。

7月に行ったときには白い器になっていて、それ以降はずっと白のままである。

私は覚えていなかった。言われれば「そうだったかもしれない」という程度で、記憶には残っていない。

写真は、私が見ていないものまで撮っている。

なぜ蕎麦にラー油を入れるのか

店名の問いに、店が自分で答えている。公式サイトの文章にこうあった。

日本蕎麦はつゆにちょんと漬けて啜るのが粋な食べ方」が頭をよぎったが、奥歯を跳ね返す麺の弾力に「蕎麦を超えた何か」を感じて圧倒された。

そういうことだと思う。

蕎麦には「粋」という言い方がついて回る。つゆにちょんとつけて、噛まずに飲み込む。あれが正解ということになっている。

この店は、その正解のほうを疑っている。

ラー油を入れるのは、辛くするためではない。「粋」という食べ方から蕎麦を引き剥がすためなのだと思う。ちょんとつけて啜れる相手ではなくなる。たっぷりつけて、しっかり噛むしかなくなる。

私はその食べ方が好きだ。

なぜ蕎麦にラー油を入れるのか。五反田店 海苔と極太の蕎麦
海苔の下にネギともやし。麺は太くて色が濃い(2024年5月)

太めで、色の濃い蕎麦。綺麗な水でツルッと食べる蕎麦ではない。噛む蕎麦である。

足利では、真逆の蕎麦を食べていた

ここで、自分でも笑ってしまう事実がある。

私はこの夏、栃木県足利市の蕎麦屋について記事を書いた。そこの蕎麦は在来種で、いま栽培されている蕎麦の99.9%以上が品種改良された品種であるうち、その残りにあたるものだった。石臼で挽いて、つなぎを使わず、添加物も入れない。全国新そば会という、老舗御三家をトップにした組織にも入っている。

日本古来の蕎麦である。

そして私は、同じ口で「蕎麦界の二郎」を食べている。

足利の在来種五反田のラー油
蕎麦品種改良される前の在来種自家製の極太田舎蕎麦
つゆ江戸から続く流儀特製ラー油入り
食べ方つゆにちょんと漬けるたっぷりつけて、しっかり噛む

正反対である。

どちらかが本物で、どちらかが偽物、という話にはしたくない。私は両方好きなのだ。

そして両方に共通していることが、ひとつだけある。

どちらも「噛む蕎麦」だった。

足利のは、つなぎがないので短く切れる。噛まないと味が出ない。五反田のは、極太で弾力があるので噛むしかない。入口はまったく違うのに、口の中でやっていることは同じだった。

つるつると喉を通していく蕎麦のほうが、むしろ私には縁がないのかもしれない。

同じ系統の店を、ほかにも回っている

この手の蕎麦が好きなので、五反田だけではない。

新橋にも、有楽町にも、同じ系統の店がある。そちらにも行っている。

ただ写真が残っていない。だから店名も書かない。記憶だけで書くと、たぶんどこかを間違える。

この記事に書けるのは、写真が残っている五反田の4回だけである。

昼のピークを外している

なぜ蕎麦にラー油を入れるのか。五反田店 2024年11月
1年半経っても、まったく同じ角度で撮っていた(2024年11月)

記録を見ると、こうなっていた。

日付曜日時刻
1回目2023年5月27日15時50分
2回目2023年7月10日13時15分
3回目2024年5月14日14時06分
4回目2024年11月29日14時44分

4回とも、13時から16時のあいだ。

12時台が一度もない。昼のピークを完全に外している。五反田はオフィスの街だから、12時台は混むのだと思う。

曜日のほうはばらばらで、土・月・火・金。特に法則はない。

ボリュームの話

普通盛りで十分である。

大盛りも食べられると思う。実際そうしたい気持ちになることもある。でも普通盛りで足りる。

海苔が山になって乗っていて、その下に麺があって、つゆには鶏肉が入っている。一食としての満足度が高い。

こういう店は「足りなかったらどうしよう」という不安がない。その安心のぶん、選ぶときに迷わない。

研究員の結論

また行くか:行く。次も鶏そばで、次も普通盛りで。

この店で分かったのは、好みは食べ方だけでなく、見方にも出るということだった。

4回とも同じものを頼んでいたのは、自分でも知っていた。4回とも同じ角度で撮っていたのは、写真を並べるまで知らなかった。

何を美味そうだと思うかと、どの角度から見ると美味そうかは、たぶん地続きになっている。私は毎回、自分がいちばん美味そうだと思う位置に立っていた。

そして足利の在来種と、五反田のラー油。両方好きだと言える自分のほうが、私は気に入っている。

向いているのは、噛む蕎麦が好きな人。そして「粋な食べ方」に縛られたくない人

次はどこかで、店名の問いをもう一度考えてみたい。

店舗情報

項目内容
店名なぜ蕎麦にラー油を入れるのか。五反田店
所在地東京都品川区西五反田
運営株式会社のみもの。(『カレーは飲み物。』などを展開)/五反田店はのれん分け店舗。本店は池袋
頼んだもの鶏そば(普通盛り)+生卵(4回とも同じ)
訪問4回(2023年5月27日/2023年7月10日/2024年5月14日/2024年11月29日)
飲んでいません(すべて昼)

※価格は掲載していません。筆者が控えておらず、記憶で書くと不正確になるためです。

※営業時間・定休日はこの記事では記載しません。公表値は変わることがあるので、行く前にご確認ください。

※外観の写真はありません。撮っていませんでした。

※メニューの内容は訪問時点のものです。

関連する調査報告

※記事中の飲食物・店内の様子はいずれも筆者が実際に訪問して見聞きしたものです。飲食代はすべて筆者が自分で支払っています。店の運営会社・店舗展開に関する記述は公式サイトによります。

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