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麺屋ようすけ(佐野)|冬にしか来なかった街に、春に来て食べた青竹手打ち

麺屋ようすけ 澄んだスープの佐野ラーメンと平打ち麺

数年前、毎年冬になると、この街で数日を過ごしていた時期があった。

佐野である。

そのあいだ、佐野ラーメンをよく食べた。どこで食べても、大概おいしかった。

ただ、行けなかった店がひとつある。

麺屋ようすけ 澄んだスープの佐野ラーメンと平打ち麺
底が見えるほど澄んだスープ。青竹手打ちの平打ち縮れ麺(2023年5月)
目次

場所が離れている、というだけの理由

「麺屋ようすけ」は、当時から人気店だった。名前も知っていた。

それでも行かなかった。理由は単純で、場所が離れていたからである。

これは大した話ではないように見えて、実はけっこう大きい。用があってその街にいる人間は、街を選べない。滞在している場所の周りで食べる。それ以上に動く時間も、動く理由もない。

その街にいることと、その街を歩けることは、別のことだ。

春に来た

写真の記録を並べたら、こうなった。

日付曜日滞在した時間帯
1回目2023年5月15日13時25分〜13時30分
2回目2024年4月15日13時17分〜13時21分

2回とも春である。

冬にだけ来ていた街に、春に来ている。ついでに言うと、2回とも月曜で、2回とも13時台の遅い昼で、2回とも15日だった。狙ってはいない。

行ったのは佐野新都市店のほう。東北自動車道の佐野藤岡インターを降りて市街方向へ進んだあたりで、アウトレットやイオンモールの近くである。

この立地が、そのまま答えになっている。用があって寄る場所ではない。わざわざ来て、寄る場所だ。

佐野ラーメンは、水の話でもある

まず、澄んだほうの一杯から。

底が見える。スープの向こう側に丼の模様が透けている。そこに平打ちの縮れ麺が沈んでいる。チャーシュー、ナルト、ネギ、青菜。飾りは少ない。

佐野ラーメンについて、少し書いておく。

栃木県佐野市を中心に食べられているご当地ラーメンで、青竹打ちの平打ち麺が特徴である。青竹に脚をかけ、竹の下に生地を置いて、体重をかけて延ばす。水分量の多い多加水麺で、やわらかさの中に弾力がある。スープは淡麗の醤油が基本。ルーツは大正時代、中国の料理人が青竹打ちを伝えたとされる。

そしてである。

佐野市には、日本名水百選に選ばれている出流原弁天池の湧水がある。佐野の水はクセがなくまろやかで、スープに向いているといわれる。

私が「佐野は水がキレイだから、澄んだスープに平打ち麺がすっきりとして非常においしい」と感じていたのは、気のせいではなかった。

麺屋ようすけは、店内の製麺室で毎日、青竹で麺を打っている。

そこに背脂を足すと、別の食べ物になる

麺屋ようすけ 背脂入りの佐野ラーメン 味玉と海苔
水面を背脂の粒が覆う。海苔と半熟の味玉(2023年5月)

同じ日の、もう一種類。

水面が背脂の粒で埋まっている。さっきの透明なスープと同じ店の、同じ厨房から出てきたものとは思えない。海苔が1枚、半熟の味玉が半分。

澄んだほうは安定している。佐野ラーメンとはこれだ、という顔をしている。

背脂のほうは、こってりする。そして、そのこってりが嫌ではない。麺が平打ちで水分を含んでいるぶん、脂を持ち上げすぎない。すっきりした土台があるから、上に何を乗せても崩れないのだと思う。

麺屋ようすけ ライスとほうれん草の小皿
ほうれん草の小皿とライス。こってりしたスープによく合う(2023年5月)

こってりしたスープには、ほうれん草が合う。これは後から分かったことで、翌年はトッピングとして頼んでいる。

佐野の餃子は大きい

麺屋ようすけ 大ぶりの焼き餃子3個
大ぶりの餃子。皿に店名が入っている(2023年5月)

餃子が大きい。

佐野で餃子を頼むと、大概これくらいの大きさで出てくる。焼き目がしっかりついて、皮に厚みがある。

そして3個から頼める。

これがありがたい。ラーメンを1杯食べる前提で、餃子を6個も8個も追加すると、たいてい後半が苦しくなる。3個なら、味を確かめて、それでも足りなければまた頼めばいい。

皿には店名が入っている。この皿で出てくると、なんとなく背筋が伸びる。

「どこも大概おいしい」街で、人気店になるということ

ここで、冬の話に一度戻る。

佐野で何軒か食べて、私が思っていたのは「どこの店も大概おいしい」ということだった。これは褒め言葉のつもりで書いている。外れが少ない。

だが、外れが少ないというのは、店にとっては厳しい話でもある。全体の水準が高い街では、普通においしいだけでは目立たない。

その中で人気店になっている、というのはどういうことか。麺屋ようすけを2回食べて、私なりの答えが出た。

基本を外さないまま、幅がある。

澄んだ一杯は、佐野ラーメンの型そのものである。ここで奇をてらっていない。そのうえで、背脂を足した一杯が別の顔で立っている。型を守る店と、崩す店は、たいてい別の店だ。それが同じ厨房から出てくる。

「どこも大概おいしい」街で選ばれるのは、上手い店ではなく、選択肢を持っている店なのだと思う。

2024年4月15日

麺屋ようすけ 白いスープのラーメン 海苔とほうれん草
白っぽいスープに海苔とほうれん草(2024年4月)

1年後、もう一度来た。

この日のスープは白っぽかった。海苔が2枚、ほうれん草がたっぷり、ネギ、チャーシュー。

麺屋ようすけ 背脂入りラーメン 味玉 海苔 ほうれん草 平打ち麺
背脂に海苔と味玉とほうれん草。平打ちの麺がよく見える(2024年4月)

背脂のほうも記録に残っている。海苔と味玉とほうれん草。平打ちの麺が、スープの下からよく見える。

正直に書いておくと、この日にどの品名を頼んだのか、私は覚えていない。写真から読み取れるのは、白いということと、背脂が浮いているということだけである。だからこの記事に商品名は書かない。

麺屋ようすけ 焼き餃子
麺屋ようすけ 餃子(2024年4月)

餃子も頼んだ。この日も3個。

本店には、1時間並んだ

写真はないが、本店にも1回だけ行っている。

東武佐野線の田島駅のそばにある、こちらが本店である。

1時間待った。

待って、食べた。それだけの話なのだが、書いておきたいのは待ったこと自体ではない。

冬にこの街にいた頃の私には、1時間並ぶという選択肢が存在しなかった。昼に1時間を使うという発想がなかった、と言ってもいい。行列を見たら、たぶん別の店に行っていた。

並べるというのは、時間を持っているということである。

研究員の結論

また行くか:行く。何度でも行く。

この店の何が良かったかというと、澄んだ一杯と背脂の一杯が、同じ店で成立しているところだった。

佐野ラーメンの土台はすっきりしている。水がきれいで、麺が多加水で、スープが淡麗。その土台がしっかりしているから、背脂を足しても、海苔を足しても、ほうれん草を足しても、崩れない。

足せるのは、土台があるからだ。

そして、この店にたどり着くまでに数年かかった理由も、はっきりしている。私が街を選べる側にいなかったからである。

向いているのは、車で来られる人。そして遅めの昼に時間を取れる人。私は2回とも13時台に入っている。

この街には、まだ行っていない店がたくさんある。冬にこの街にいた頃、私はそれを知らなかった。

店舗情報

項目内容
店名青竹手打ちラーメン 麺屋ようすけ 佐野新都市店
所在地栃木県佐野市高萩町(佐野藤岡ICから市街方向/アウトレット・イオンモール佐野新都市の近く
特徴店内の製麺室で毎日、青竹手打ち。鶏ガラと豚のスープ
頼んだもの澄んだスープのラーメン/背脂入りのラーメン/餃子/ほうれん草/ライス
訪問日2023年5月15日(月)13:25〜13:30ごろ/2024年4月15日(月)13:17〜13:21ごろ
本店東武佐野線・田島駅のそば。別に1回訪問(1時間待ち・写真なし)

※アルコールは頼んでいません。呑み歩き研究所を名乗っていますが、この記事に酒は出てきません。

※商品名は記載していません。筆者が控えておらず、写真からも確定できないためです。見た目の事実だけを書いています。

※価格は掲載していません。筆者が控えておらず、記憶で書くと不正確になるためです。

※営業時間・定休日はこの記事では記載しません。公表値は変わることがあるので、行く前にご確認ください。

関連する調査報告

※記事中の飲食物・店内の様子はいずれも筆者が実際に訪問して見聞きしたものです。訪問は2023年5月と2024年4月で、本記事の公開時点から2年から3年前にあたります。飲食代はすべて筆者が自分で支払っています。佐野ラーメンおよび出流原弁天池湧水に関する記述は、佐野市観光協会その他の公開情報によります。

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