立川には、何でもある。
年に2回、私は立川に出かける。そして毎回、どこに入るかで迷う。
居酒屋も、鮨も、焼肉も、ラーメンも、お好み焼きもある。種類が足りないということがない街である。
一通り歩いた。それで、あるとき考えた。
さらに店を増やすのか。それとも、一軒ずつ深めていくのか。
今回は、深めるほうにした。
2回目からしか見えないものがある
理由を書いておきたい。
1回目は、代表料理を頼んでしまう。
SNSで上がっている看板メニュー、店が推している名物。それを頼まないと、その店に来た気がしない。だから1回目は、たいてい同じような注文になる。
2回目、3回目になると、攻略法がわかってくる。
何が定番で、何が変わり種か。同じ食材でも、別の形で頼めることがある。そういうことは、1回目には見えない。
この記事は、そういう話である。
307日あいて、39秒違いに入っていた
立川すしわさび。JR立川駅の南口から徒歩3分である。
市場直送の魚介を使う寿司酒場で、本鮪の握りとバラちらしが看板。カウンター席とボックス席があり、52席。
二人で行った。だから品数が多い。一人だとここまでは頼めない。
写真の記録を見て、自分でも驚いたことがある。
| 1回目 | 2回目 | |
|---|---|---|
| 日付 | 2025年10月12日(日) | 2026年8月15日(土) |
| 最初の写真 | 11時35分13秒 | ⭐ 11時35分52秒 |
| 最後の写真 | 13時28分 | 15時11分 |
| 滞在 | 1時間53分 | ⭐ 3時間36分 |
あいだは307日。それなのに、39秒違いの同じ時刻に入っている。
意識していない。たまたまである。ただ、私は昼から呑むときの時間が決まっているらしい。
そして2回目のほうが、1時間43分長い。
2回とも頼んだもの
まず、2回とも頼んだものが2つある。
寿司屋が本気で作ったツナサンド

メニュー名が、そのまま「寿司屋が本気で作ったツナサンド」である。
この店は、料理名が面白い。あとで出てくる「三陸から来た磯野ワカメ」もそうだ。名前で笑わせにきている。
そして——うまい。だから2回目も頼んだ。

定番として人気だと聞いていたが、人気なのには理由があった。
涙巻き

涙巻きも、2回とも頼んでいる。
わさびの入った巻物である。店名にわさびを名乗る店に来たら、これは避けて通れない。
2回とも頼んだということは、そういうことである。気に入ったから、また頼んだ。
1回目に「代表料理を頼んでしまう」と書いたが、それが悪いわけではない。代表料理は、たいてい本当にうまい。
同じものを、違う形で頼んだ
ここからが、2回目の話である。
1回目、私はサーモンユッケを頼んだ。

丸い皿に山盛りで出てきた。卵黄がひとつ乗っている。
2回目、同じサーモンユッケを、寿司で頼んだ。

「サーモンユッケ寿司」というメニューがあったのである。
器が、横長になった。
これが、私の言う「攻略」である。
1回目にサーモンユッケを食べていなければ、メニューの中からこれを見つけても、たぶん頼まなかった。知らない味だからだ。
1回目に味を知っていたから、2回目に「これを寿司で食べたらどうなるか」と思えた。
同じ食材に、二度違う形で出会える。これは1回目にはできない。
2回目は、メニューを7枚撮っていた
写真を並べていて、もうひとつ気づいたことがある。
2回目、私はメニューを7枚撮っていた。
1回目は、0枚である。
これが「攻略法がわかってくる」の正体だったのだと思う。
1回目は、出てきた料理を撮っている。2回目は、メニューを撮っている。
何があるのかを、読んでいる。
2回目に、初めて頼んだもの
三陸から来た磯野ワカメ

わかめの天ぷらである。
そしてメニュー名が「三陸から来た磯野ワカメ」。
頼む前に一度、名前で笑った。そして出てきたものは、ちゃんとうまかった。
1回目に、頼んでいたもの
逆の話もしておきたい。

エビフライである。
これは1回目に頼んでいる。そして——グラスに立ててあった。
変わった盛り付けの料理が、この店には何品もある。
つまり「1回目は無難、2回目は冒険」という単純な話ではない。1回目にも変わり種は頼んでいるし、2回目にも定番を頼んでいる。
変わったのは、注文の順番や理由のほうである。
結局、うまい寿司

そして、寿司である。
松の10貫。
変わり種の話をしてきたが、この店は寿司屋である。市場直送の魚を握っている。
結局、うまい寿司だった。
酒と、グラスの話
この店は、ジョッキとグラスが個性的である。


同じグラスを、2回とも撮っていた。
わさびサワーがある。店名がすしわさびなので当然といえば当然だが、実際に飲めるとは思っていなかった。
そして寿司屋のガリチュー。ガリを入れた酎ハイである。これも良い。
焼酎も、日本酒も飲んだ。寿司屋なので、酒の揃えは悪くない。
料理名も、器も、この店は「普通にしない」ことを選んでいる。そういう店だと思う。
増やすか、深めるか
冒頭に戻る。
立川は何でもある街である。だから、行くたびに新しい店に入ることもできる。それはそれで楽しい。
私は、飲食店を広く知ることも好きである。
ただ、2回目、3回目も大事だと思っている。
1回目には見えないものがある。メニューの端にある変わり種、同じ食材の別の形、器のこと。それは、一度その店の「代表」を知ったあとにしか見えない。
今回、私は深めるほうを選んだ。そしてサーモンユッケ寿司という、1回目には頼めなかったものに行き着いた。
研究員の結論
また行くか:行く。3回目がある。
この店で私が持ち帰ったのは、1回目と2回目は、別の店に行っているようなものだということだった。
同じ店で、同じ時刻に入って、同じ寿司屋なのに、頼むものが変わる。変わったのは店ではなく、こちらの目のほうである。
その証拠が、メニュー写真7枚だった。1回目の私は、メニューを撮っていない。出てきたものを撮っていた。2回目の私は、これから何を頼めるかを撮っていた。
そして2回とも頼んだものが2つあった。ツナサンドと涙巻き。2回頼んで、はじめて「これは定番だ」と自分で言えるようになる。
向いているのは、寿司も食べたいし、変わったものも食べたい人。両方ある店である。
そして、2回行ける人。
立川には、もう一軒の寿司屋がある
同じ立川でも、2回目に行く理由が正反対の店がある。こちらは「同じものが同じように美味しいか」を確かめに行く店だ。
→ 立川 すし なんば|寿司は、美味しくて当たり前。だから難しい
1回目に、あえて無難を選ぶという話
青梅の居酒屋で麻婆豆腐を頼んだとき、もう少し辛くてもよかったのに2辛で止めた。初めての店で極端な選択をすると、その店の標準がわからなくなるからである。
→ 居酒屋 ICHIDAN(青梅・河辺)|東京に、行ったことのない街がまだあった
店舗情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 店名 | 立川すしわさび |
| 所在地 | 東京都立川市錦町1-3-29 鴨志田ビル1F |
| アクセス | JR立川駅南口から徒歩約3分 |
| 席 | 52席(カウンター席・ボックス席) |
| 頼んだもの | 寿司屋が本気で作ったツナサンド/涙巻き/サーモンユッケ/サーモンユッケ寿司/三陸から来た磯野ワカメ(わかめの天ぷら)/エビフライ/松10貫/わさびサワー/寿司屋のガリチュー/焼酎/日本酒 |
| 訪問日 | 2025年10月12日(日)/2026年8月15日(土)(2回) |
※価格は掲載していません。※営業時間・定休日はこの記事では記載しません。公表値は変わることがあるので、行く前に必ず店舗にご確認ください。
※メニュー名は訪問時のものです。変更されている場合があります。
※同じ会社が「立川泉町すしわさび」も運営していますが、この記事は駅前の「立川すしわさび」の記録です。
関連する調査報告
→ 広島お好み焼き ホプキンス 立川店|この店の鉄板は、料理をしていなかった
→ 大衆居酒屋 もんじゃ酒場 だしや 町田店|焼鳥が串で出てこなかった