2023年8月4日。
この日、私は原爆ドームを人生で初めて見た。
これから書く店は、そこから歩いてすぐのところにある。

お好み焼き 長田屋。人に教えてもらった店である。
ここでいうお好み焼きは、広島のお好み焼きだ。
開店10分前に、20人以上が並んでいた
着いたのは開店の10分前だった。
すでに20人以上が並んでいた。
そして——なんとか1回転目にカウンターに座れた。
この店はそういう入り方になる。1回転目に入れなかった人たちは、2回転目の着席である。つまり、開店と同時に席が全部埋まり、その回が終わるまで次の人は入れない。
1度に満席になるわけだから、店員さんも大変だ。
あとで調べたら、総席数は36席だという。開店前に20人以上並んでいたのだから、開いた瞬間に半分以上が埋まる計算になる。
座って、レモンサワーを頼んだ

カウンターに座って、少し待ってからレモンサワーを頼んだ。
グラスに店名が入っている。「お好み焼 長田屋 NAGATA-YA」。
そして、この写真をよく見てほしい。グラスの向こう、鉄板の上にお好み焼きが並んでいる。
目の前で焼かれていたのは、私のではなかった

私がメニューを見ているときには、もう鉄板にお好み焼きが並んでいた。
当然、私のではない。

最初に作られていたお好み焼きは、私のではなかった。
出来上がるごとに、早く着席していたお客様に運ばれていく。
これが、この店に座って最初に理解したことだった。
目の前で焼かれている。でも、それは自分のものではない。
考えてみれば当たり前である。先に座った人が、先に注文している。だから先に焼かれ、先に運ばれる。そこには順番がある。
ただ、鉄板がカウンターの向こうにあって、焼かれていく様子が全部見えてしまうと、この当たり前が妙にはっきりする。
目の前にあることと、自分のものであることは、別である。
10人が、同時に焼いていた
レモンサワーを飲みながら、私はずっとそれを見ていた。
10人くらいが、カウンターの内側で調理していた。
それとは別に、サービススタッフもいる。

鉄板に、丸く広げた生地がいくつも並んでいる。その脇に麺の山、もやしの山。

キャベツの山が3つ。天かすが乗っている。右のほうには牡蠣が並んでいる。
これが同時に進んでいる。
ここまでの繁盛店には、なかなか出会えない。
しばらくして、私の前に到着した

私の分が焼き上がった。
ネギがたっぷり乗っている。横から麺が出ている。
写真の記録を見たら、座ってから26分後だった。その26分、私はずっと他の人のお好み焼きが焼かれ、運ばれていくのを見ていたことになる。

鉄板から、さらによそう。
ヘラで切って、白い皿に移す。いざ食事である。

そして、これがこの日いちばん正直な1枚だと思う。
手前に、私の皿。奥の鉄板には、まだ他の人の分が並んでいる。
私の番が来ても、店の流れは止まらない。
綺麗だし、美味い
食べた。
綺麗だし、美味い。美味い。
これだけの数をこなして、この出来上がりである。
量をこなす店は、どこかで質が落ちるものだと思っていた。この店はそうならない。10人が同時に、次から次へと焼いていて、それでも1枚ずつがちゃんとしている。
あとで調べたら、ソースはオタフクソースの特注で、麺は豚骨スープで味付けしているという。広島で30年続いている店だそうだ。
1人では量は多い。ただ、満足した。
表彰状が貼ってあった

店の一角に、表彰状が2枚並んでいた。
- トリップアドバイザー「外国人に人気の日本のレストラン2015」全国14位
- 食べログ「お好み焼き 百名店 2018」
どちらも少し前のものだが、この店がどういう店なのかはよく分かる。
店の言葉に、こうあった。「世界中に広島のお好み焼きの美味しさを伝えたい」。
平和公園から徒歩10秒の店である。世界中から人が来る場所の、すぐそばにある。
鉄板は、店によって4通りあった
私はこのブログで、鉄板の店を何軒か書いてきた。並べてみたら、全部やり方が違っていた。
| 店 | 鉄板は何か | 焼くのは | 目の前のものは |
|---|---|---|---|
| もんじゃ酒場 だしや(町田) | 調理台 | 自分 | 自分の |
| 月島もんじゃ もへじ(町田) | 調理台 | 店員さん | 自分の |
| 広島お好み焼き ホプキンス(立川) | 保温台 | 厨房 | 自分の |
| 長田屋(広島) | 調理台 | 10人 | ⭐ 他人の |
この店だけが、「目の前で焼かれているのに、自分のではない」。
だしやでは自分で焼いた。もへじでは焼いてもらった。ホプキンスでは厨房で焼かれたものが鉄板に置かれた。どれも、目の前にあるものは自分のものだった。
長田屋では違う。目の前は完全に厨房で、そこで進んでいるのは店全体の作業である。自分の分は、そのうちの1枚にすぎない。
研究員の結論
また行くか:行く。いつかまた食べたい。
この店で私が持ち帰ったのは、待っている時間に、店の仕組みが全部見えるということだった。
26分待った。その26分は、退屈ではなかった。他の人の分が焼かれ、運ばれ、また次が乗る。10人が同時に動いている。それを見ていたら、自分の番が来ていた。
行列のある店で待つのは普通は苦痛だが、カウンターに座ってからの待ち時間は、見学の時間になる。そういう作りの店だった。
向いているのは、開店前から並べる人。1回転目に入れるかどうかで、その後がだいぶ変わる。
そして——これだから広島のお好み焼きは最高だ。
店舗情報
| 店名 | お好み焼き 長田屋 |
| 所在地 | 広島県広島市中区大手町1-7-19 |
| アクセス | 広電本線・原爆ドーム前駅から徒歩2分/紙屋町西駅から徒歩3分 |
| 席 | 総席数36席・全席禁煙 |
| 頼んだもの | 広島お好み焼き/レモンサワー |
| 訪問日 | 2023年8月4日(金)11時台(初訪問) |
| 備考 | 焼くのは店の方です。開店前から行列ができます |
※価格は掲載していません。※営業時間・定休日はこの記事では記載しません。公表値は変わることがあるので、行く前に必ず店舗にご確認ください。
※受賞歴は表彰状の記載(2015年・2018年)に基づきます。