お好み焼きというと、私は広島お好み焼きが好きである。
理由ははっきりしている。麺が入っているからだ。
薄い生地。キャベツ。そして焼きそば。あれが重なっているほうが、私は好みである。
その広島お好み焼きを、立川で食べた。

麺が入った方が好みだ
出てきたのがこれである。ソースと青のり。横から麺がはみ出している。
そして切り分けたときに、こうなった。

断面である。
上から、薄く焼いた生地。キャベツ。麺。そしてイカとタコ。
広島お好み焼きは混ぜない。重ねる。だから切ると層が出る。私が好きなのは、この構造のほうだったのだと、断面を見て思った。
生地はあくまで蓋である。主役はキャベツと麺で、生地はそれを閉じ込めるためにある。
この店の鉄板は、料理をしていなかった
さて、この記事で書いておきたいのはここからである。
この店は、焼いてくれたものを、テーブルの鉄板に乗せてくれる。
つまり——厨房で焼く。目の前の鉄板で焼くのではない。

席に着いたときの鉄板がこれである。ハイボールでスタートした。
鉄板はもう温まっている。でも、ここで何かが焼かれることはなかった。
自分で焼くこともできるのかは、わからない。聞かなかった。少なくとも私は、一度もヘラを持たなかった。
ホイルの舟ごと、鉄板に乗ってくる
証拠がこれである。

イカのバター焼きと、焼き枝豆。
どちらもアルミホイルの舟に入ったまま、鉄板の上に置かれている。
これは調理ではない。冷めないようにしているだけである。
後半になると、こうなった。

ホイルの舟が3つ並んでいる。牛ハラミ、焼き枝豆、そして食べかけのお好み焼き。
鉄板が、完全に皿を置く台になっている。
冷たいものは、鉄板に乗らない
そして、いちばん面白かったのがこれである。

ポテトサラダと、大根ときゅうりの漬物。
これは白いテーブルの天板の上に置かれている。鉄板ではない。
つまり、この店ではこうなっている。
| 料理 | 置かれる場所 |
|---|---|
| 温かいもの(イカバター・枝豆・ハラミ) | ホイル舟ごと鉄板の上 |
| 冷たいもの(ポテサラ・漬物) | 白い天板の上 |
| お好み焼き・焼きそば | 鉄板に直置き |
料理のジャンルではなく、温度で置き場所が決まっている。
言われてみれば当たり前なのだが、写真を並べるまで気がつかなかった。鉄板というのは、焼くための道具であると同時に、「冷めない場所」という設備でもある。
鉄板は、店によって別の道具になる
私はこの少しあとに、もんじゃの店に2軒行っている。そして同じ「目の前の鉄板」が、店ごとにまったく違うものだったことに気づいた。
| 店 | 鉄板は何か | 焼くのは |
|---|---|---|
| もんじゃ酒場 だしや(町田) | 調理台 | 自分 |
| 月島もんじゃ もへじ(町田) | 調理台 | 店員さん |
| ホプキンス(立川) | 保温台 | 厨房 |
同じ鉄の板が、調理台にも、保温台にもなる。
そしてどれが正しいということもない。だしやでは自分で焼くのが楽しかったし、もへじでは焼いてもらえて助かった。そしてこの店では、何も考えずに飲んでいられた。
鉄板が何をする道具かは、店が決めている。
焼きそばにチーズを乗せた

焼きそばにチーズをトッピングした。
溶けたチーズが麺にかかっていて、上に白髪ねぎが乗っている。お好み焼きで麺を食べたのに、また麺である。
変わり種が多い店なのだと思う。
酒が、だんだん瓶になっていく
飲んだものを順に書くと、こうなる。
ハイボール → ホッピー → コダマサワー。

コダマサワーは青りんごだった。
緑色の瓶に「ビンはリターナブル」と書いてある。コダマ飲料の、業務用の瓶入りサワーである。レモン、ざくろ、バイス、巨峰など、いろいろな味がある中の青りんごだった。
書いていて気づいたのだが、グラス → 瓶 → 瓶と、だんだん瓶に寄っている。
そしてもうひとつ。広島の店なのに、手元にはホッピーとコダマサワーが並んでいた。どちらも東京でよく見る割り材である。店がそこまで考えているのかは分からないが、お酒の種類が多い店だった、ということだと思う。
デザートまであった

最後にデザートを頼んだ。
焼いたプリンみたいなものと、シャーベット。表面が焦がしてあって、香ばしかった。
奥に、食べ終わった鉄板が写っている。この写真が、この日の最後の1枚である。
3時間16分
写真の記録を見たら、こうなっていた。
| 時刻 | できごと |
|---|---|
| 11時35分 | 着席。ハイボール |
| 11時43分 | ポテトサラダ、漬物 |
| 11時51分 | イカのバター焼き、焼き枝豆 |
| 12時25分 | 広島お好み焼き |
| 12時32分 | 切り分ける |
| 13時08分 | 牛ハラミ |
| 13時14分 | 焼きそばチーズ |
| 13時50分 | コダマサワー |
| 14時51分 | デザート |
滞在は3時間16分。
そして気づいたのだが、お好み焼きが来たのは、着いてから50分後である。それまではずっと、漬物とポテサラと枝豆で飲んでいる。
お好み焼きの店に来て、最初の50分はお好み焼きを食べていない。
これはつまり、この店を居酒屋として使っていたということだと思う。実際、そういう作りの店である。鉄板焼きのつまみがあって、おでんもあって、酒の種類が多い。
席が空いているか、気をつけてほしい
ひとつだけ、行く人に伝えておきたいことがある。
入店したとき、店は混雑していた。
私はこの日、結果的に3時間以上いた。それだけ長くいられたのは運が良かっただけである。
訪問するときは、席が空いているか気をつけて行ってほしい。
研究員の結論
また行くか:行く。次はおでんを頼む。
ここ、美味しい。変わり種もあるし、酒の種類も多い。
そしてこの店で私が持ち帰ったのは、鉄板の役割は、店が決めているということだった。
目の前に鉄板があると、つい「自分で焼く店だ」と思ってしまう。でもこの店では、鉄板は焼くための道具ではなく、冷めないための場所だった。冷たいものは、そもそも乗らない。
設備が同じでも、使い方が同じとはかぎらない。
向いているのは、焼きたくない人。自分でヘラを握らずに、広島お好み焼きが食べたい日に合う。
そして、麺が入っているほうが好きな人。
粉ものは食べていた。もんじゃだけが空白だった
最後に、時系列の話をひとつ。
この訪問は2025年2月である。
私がもんじゃを生まれて初めて食べたのは、この1年以上あとのことだった。
つまり私は、お好み焼きは食べていた。それも、わざわざ広島風を選ぶくらいには好きだった。鉄板の店にも来ていたし、こうして3時間も座っていた。
それなのに、もんじゃだけが空白だった。
同じ粉もので、同じ鉄板で、同じソースの匂いがする場所にいたのに、もんじゃにだけ手が伸びていなかった。
理由は自分でもよく分からない。ただ、そういう空白は、たぶん誰の食生活にもある。
同じ店に、2回行ってみた話
立川の寿司酒場に2回行った。307日あけて、39秒違いの同じ時刻に入っていた。そして2回目だけ、メニューを7枚撮っていた。
→ 立川すしわさび|1回目は代表料理を頼む。2回目から攻略が始まる
立川には、もう一軒の寿司屋がある
同じ立川でも、2回目に行く理由が正反対の店がある。こちらは「同じものが同じように美味しいか」を確かめに行く店だ。
→ 立川 すし なんば|寿司は、美味しくて当たり前。だから難しい
店舗情報
| 店名 | 広島お好み焼き ホプキンス 立川店 |
| 所在地 | 東京都立川市曙町2-6-7 尾崎ビル3F |
| アクセス | JR中央線・立川駅北口から徒歩3分/多摩都市モノレール・立川北駅から徒歩4分 |
| 席 | 座敷34席+テーブル32席 |
| 頼んだもの | ハイボール/ホッピー/コダマサワー(青りんご)/大根ときゅうりの漬物/ポテトサラダ/焼き枝豆/イカのバター焼き/広島お好み焼き/牛ハラミ/焼きそば(チーズトッピング)/シャーベット/焼きプリン風のデザート |
| 訪問日 | 2025年2月23日(日)約3時間16分 |
| 備考 | 焼くのは厨房。テーブルの鉄板には、焼き上がったものが置かれます |
※価格は掲載していません。※営業時間・定休日はこの記事では記載しません。公表値は変わることがあるので、行く前に必ず店舗にご確認ください。